2011年6月21日火曜日

玄海原発が爆発 九州から大阪まで壊滅!

今週の週刊現代(7月2日号)で、井野博満・東大名誉教授(金属材料学)が警告している。現在稼働中の玄海原発1号機は「中性子照射脆化」という現象によって、原子炉の圧力容器が壊れ、爆発する危険が高いという。

 「原子炉は老朽化するにつれ、圧力容器が中性子線によって脆化(ぜいか)=劣化していきます。すると、ある条件に陥った場合に、容器がバリン、と割れてしまう危険性があるのです。

 圧力容器の破壊は、原発にとって究極の大事故と言うべきものです。圧力容器が割れたら核反応の暴走を防ぐ手立てはほとんどなくなります。原子炉が、福島第一原発でも起きなかったような大爆発を起こすのです。その危険が、いま玄海原発(佐賀県・九州電力)に迫っています。

 そう指摘するのは、金属材科学の権威で、東京大学名誉教授の井野博満氏だ。」

東京電力福島第一原発のメルトダウン事故を受け、政府は浜岡原発(静岡県)の全面停止を決めた。理由はM8超とされる東海地震が発生する可能性が高まっているからだという。

 しかし、果たして「危険な原発」は、浜岡だけなのか。井野氏は、日本で最も古い原子炉の一つ、玄海原発1号機の危険性を強く警告し続けている研究者だ。

 一般的にはあまり知られていませんが、日本は”原発老朽化の先進国”です。

 アメリカは日本より10年早く、60年代に原発を稼動させましたが、大半はすでに廃炉が決まっていますし、ドイツも同様です。その頃に建設され、運転を開始した原発がいくつも使われているのは、日本だけです。

 こうした、世界に類を見ない老朽化原発の象徴的存在といえるのが、玄海原発の1号機なのです。

 玄海原発では、もっとも古い1号機と、97年に運転開始の4号機が現在稼働中。2号機、3号機は定期点検中だが、その再稼動を巡って地元は紛糾し、玄海町は稼動を承認するも、佐賀県は慎重な姿勢を崩していないなど、議論が続く。

 また、3号機は、09年に日本発のプルサーマル発電を開始した原子炉としても知られる。

 「75年に稼働した玄海原発1号機は、いまや日本一危険な原子炉であるといっても差し支えありません。なぜなら、地震や故障など、何らかの原因で通常の冷却機能が停止し、緊急炉心冷却装置(ECCS)が作動して原子炉圧力容器が急冷されると、その際に容器そのものが破壊されてしまう危険性があるからです。


 玄海原発1号機のような加圧水型軽水炉(PWR)は通常、圧力容器内が150気圧、300度以上の高圧・高温で運転されています。もし、この150気圧の圧力容器が壊れ、爆発したらどうなるか。

 容器内の放射性物質はすべて噴出し、空高く舞い上がり、広大なエリアに降り注ぐことになります。福島第一どころか、チェルノブイリ以上の大惨事になるのは間違いありません。

 では、なぜそれほど玄海原発1号機が危険なのかを説明していきましょう。

 原発の老朽化をはかるうえで重要な指標に、圧力容器の「中性子照射脆化」というものがあります。原子炉内で核分裂が起きると、炉内に発生した中性子が飛んで、圧力容器の内壁にぶつかり、金属にダメージを与えることになります。年月がたつにつれて、これが圧力容器を脆くしてしまう。それが中性子照射脆化と呼ばれる現象です。

 一般に原子炉というと、非常に頑丈で、何か特別な材料でできているように思われがちですが、実はまったくそんなことはありません。圧力容器は鉄にニッケルやモリブデンなどを多少加えた鋼でつくられていて、配管にいたってはステンレス製で、これは家庭用の流し台の素材と同じです。

 原子炉というのはそういうごくありきたりの金属でできています。したがって、他の一般的な機械と同様、経年によってガタもくれば、老朽化もする。しかも、その老朽化において原発特有の原因があり、それが中性子照射というわけです。


原子炉がかんたんに割れる

 では、その脆化=劣化とはどういうものなのでしょうか。簡単に言えば、中性子線によって金属の柔軟性・弾力性が失われて"硬く"なり、壊れやすくなる、ということです。

 人体にたとえれば、動脈硬化によって血管が破れやすくなるのをイメージしてください。金属の場合、劣化が進むと、「ある温度」(脆性遷移温度と言います)より低くなると、まるで陶磁器が割れるように、小さな力であっさりと割れてしまうようになります。この現象が、玄海原発1号機のような老朽化原子炉では進んでいるのです。

 通常、鋼の脆性遷移温度はマイナス20度くらいです。しかし、中性子線を浴びることによってこの温度がだんだんと上昇していきます。

 この温度が高いほど、原子炉は危険になります。なぜなら、地震等で緊急炉心冷却装置が作動し、圧力容器を冷やさねはならなくなった場合、この「冷やす」という必要不可欠な操作自体が、危険を招くことになるからです。

 玄海原発1号機の場合、この温度が、なんと「98度」になっているのです。

 ガラスのコップに熱湯を注ぐと、割れてしまいますよね。これはコップの内側と外側の温度差によって生じる力に、ガラスが耐えられなくなるからです。

 原子炉の場合は、これと逆になります。高温の原子炉の中に、緊急冷却のために水を入れる。すると、それによって圧力容器が破壊されてしまう。「脆性遷移温度」が高いということは、その際、より早い段階で容器が壊れる危険性が出てくる、割れやすい、ということになります。

 ちなみに九州電力が公表している玄海原発1号機の脆性遷移温度は、76年が35度、80年が37度、93年が56度でした。ところが最新の09年の調査で、それが一気に98度へと跳ね上がりました。

 なぜこれほど急激に上昇したのか原因は不明です。ただ、圧力容器の鋼材に銅などの不純物が混ざっていると、老朽化が早く進み、この温度が高くなることがわかっています。以前は関西電力の美浜原発1号機の脆性遷移温度が最も高かった(81度)のですが、ここの圧力容器には銅成分が少なからず含まれています。

 玄海原発の場合、単純には説明のつかないところがありますが、どうも鋼材そのものが均一な材質ではない、という仮説が成り立ちそうです。つまり、圧力容器自体が一種の不良品だった可能性も捨て切れません。」

 もしも玄海原発1号機が爆発を起こした場合、周辺にどれほどの被害を及ぼすのか。元京都大学原子炉実験所講師の小林圭二氏は、こう語る。

 「原子炉の脆性破壊は、いまだかつて世界が経験したことがない、巨大な事故になります。福島第一の事故は深刻ですが、それでも放射性物質の9割は圧力容器内に残っていると思われます。
 しかし、脆性破壊で爆発が起きれば、圧力容器は空になり、ほぼすべての放射性物質が放出されてしまいます。被害は玄海原発がある九州だけでなく、東は大阪にまで及ぶでしょう。大阪は現在の福島県の一部のように、避難区域になって住めなくなります。しかも、事故の進展が早いので、退避することも難しい。
 さらに、被害は中国など近隣のアジア諸国はもちろん、欧米にまで及ぶことになるでしょう」

 呆れたことに、原子力安全・保安院は、玄海原発1号機の異様に高い脆性遷移温度のことを、昨年12月に私たち「原発老朽化問題研究会」が指摘するまで、把握していませんでした。

 九州電力はこの情報を保安院に伝えておらず、保安院も電力会社に問い合わせる義務がないので知らなかったと言うのです。福島第一原発の事故で、原子力の管理・監視態勢がまったく機能しなかったことが問題になっていますが、ここでも同じことが起きている。

 安全性が顧みられないうちに、日本の原発の老朽化はどんどん進んでいます。

 脆性遷移温度が危険城にあるのは玄海1号機だけではありません。

 美浜1号機は81度、同2号機が78度、大飯2号機が70度、高浜1号機が54度と、ワースト2位から5位まで、福井県にある関西電力の原子炉が占めています。
また、6位の敦賀1号機(日本原子力発電・51度)も福井にあります。

 老朽化原発は一刻も早く、廃炉にする必要があります。玄海1号機のように、本来40年の使用を想定していたのを強引に60年に延長して使おうなどというのは、もってのほかです。

 玄海原発の爆発で、西日本は終わる。こんな危険が専門家によって警告されているにもかかわらず、玄海原発1号機は動いている。休止中の2、3号機も再稼働に向けた準備が進んでいる。

 これほどのリスクを冒して、電力の確保のために原発を動かすなんて、正気の沙汰ではない。

 玄海原発は、一刻もはやく廃炉にすべきであろう。

http://www.asahi.com/national/update/0527/SEB201105270004.html


玄海原発、想定以上の劣化か 専門家指摘「廃炉に」

 九州電力玄海原子力発電所1号機(佐賀県玄海町)の原子炉圧力容器の劣化が想定以上に進んでいる恐れのあることが、九電の資料などからわかった。九電は「安全性に問題はない」とするが、専門家は「危険な状態で廃炉にすべきだ」と指摘。1号機は稼働中で、反原発団体は原子炉の劣化を危険視している。

 原子炉は運転年数を経るにつれ、中性子を浴びて次第にもろくなる。その程度を調べるため、電力各社は圧力容器内に容器本体と同じ材質の試験片を置き、もろさの指標である「脆性遷移(ぜいせいせんい)温度」を測っている。温度が上がるほど、もろさが増しているとされる。

 1975年に操業を始めた玄海原発1号機は九電管内で最も古い原発で、想定している運転年数は2035年までの60年間。脆性遷移温度は76年、80年、93年に測定し、それぞれ35度、37度、56度だった。ところが、09年には98度と大幅に上昇した。

 九電はこの測定値から、容器本体の脆性遷移温度を80度と推計。「60年間運転しても91度になる計算で、93度未満という新設原子炉の業界基準も下回る数値だ」と説明している。

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/244357


玄海原発1号機 想定超す劣化 九電は「安全」強調

九州電力玄海原子力発電所1号機(佐賀県玄海町)原子炉の「脆化(ぜいか)」と呼ばれる老朽化が、従来想定を超えていることが27日分かった。九電は想定データを上方修正した上で「想定を超えているが、安全性は保たれている」と説明している。

 玄海1号機は1975年10月運転開始。現在事故や定期検査などで停止せず稼働中の国内原発では、関西電力美浜原発2号機(福井県、72年運転開始)に次ぎ、2番目に古い。原発の長期運転をめぐる議論に影響が出ることが予想される。

 核反応で中性子を浴び続ける原子炉内にある測定用の鋼鉄片の温度から脆化の状況が分かる「脆性(ぜいせい)遷移温度」が、2009年4月時点で従来想定を最大20-30度程度上回る98度だった。

 九電が過去測定した温度は35度(76年)、37度(80年)、56度(93年)。運転開始30年を前にした03年、国に提出した高経年化技術評価書のグラフでは、09年前後の時点での温度を誤差を含め70度前後に想定していた。九電は09年の測定結果を受け、測定値に沿った想定に上方修正したという。

 温度が高いほど脆化が進んでいることを示し、緊急時に冷却水を注入する際に炉心が損傷を受ける恐れがある。ただ、九電は原子炉そのものの現在の遷移温度は80度程度、60年運転を続けたとしても91度と予測。新設原子炉の基準である93度を下回っているとしている。

■「絶対安全」ではない

 京都大原子炉実験所の義家敏正教授(照射材料工学)の話 鋼鉄製の圧力容器は約500トンの重さで厚さは10センチある。予想を超えた脆性遷移温度がただちに緊急の炉心冷却時に問題となるとは考えないが、メーカーが言うような「絶対安全」ではないだろう。長期の中性子照射による炉心劣化は研究者でも不明な点が多い。福島第1原発事故でも一時、緊急冷却された。その影響を検証し、今後の高経年化原発の評価につなげていくべきだ。

http://news.ameba.jp/20110526-112/


玄海原発は、浜岡より危険な原発だった!

「玄海原発1号炉は日本一危険な原子炉といっていいでしょう」

 こう断言するのは、井野博満・東大名誉教授(金属材料物性)である。メルトダウンした福島第1原発より、停止が決まった浜岡原発より、玄海1号炉のほうがはるかに危険というのだ。

 その根拠として井野教授があげるのが、次の数字である。

 35℃('76年)、37℃('80年)、56℃('93年)、そして98℃('09年)。九州電力が公表した玄海1号炉の「脆性遷移温度」の推移である。

「ひと言で言えば、圧力容器そのものが劣化し、いつ"破断"してもおかしくない状態なのです」

 わかりやすく説明しよう。冷えたガラスのコップに熱湯をいきなり注ぐと、コップは割れるかひびが入ってしまう。これはコップの内側と外側で急激に温度が変わり、その差にガラスが耐えられなくなってしまったからだ。

 原子炉の場合は逆だ。常に高温に晒された原子炉に冷えた水がかかると、やはり急激な温度差に耐えられず、金属が破断してしまう。この変化にどこまで耐えられるかが「脆性遷移温度」だ。要は、98℃の水が原子炉にかかると、破断する危険性があるのだ。

 「私はわかりやすい例としてタイタニック号の沈没をあげるんです。タイタニック号の船底や外板の鉄は質が悪く、27℃程度で破断する状態だった。冷え切った海を航海していて、そこに氷山がぶつかった。その衝撃が想像以上に船を破壊したため、世界最大の船があっという間に沈んでしまったんです」
 原子炉は常に炉心から放出される中性子が炉壁に当たっている。このダメージが積もり積もって、圧力容器がどんどん脆くなっていくのだという。

「玄海原発1号機の原子炉は陶器のようなもので、簡単にひび割れ、破断してしまう。もし現実になれば、炉心の燃料棒が吹っ飛ぶような大爆発を引き起こす可能性もあります」(井野氏)

 98℃という温度は、そんな最悪のシナリオをリアルに予感させるものだという。

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