2011年10月22日土曜日

マスコミが書かない東電経営・財務調査委員会報告のひどい欺瞞

10月3日に“東京電力に関する経営・財務調査委員会”が報告書を発表しました。新聞などでは、東電のリストラの深堀りや電気料金値上げなどの表面的な数字ばかりが大々的に報道されていましたが、一番大事な点が報道されていません。それは、この報告書は既得権益を擁護して賠償負担はすべて国民に回すという、欺瞞に満ちたものだということです。

リストラ上積みは東電再生のためだけに使われる
報告書を一読すると、被災者の賠償に要する金額を4兆5千億円程度と見積もる一方で、東電が自ら発表したコスト削減額(合計1兆2千億円)は不十分として、その倍に相当する2兆5千億円規模のコスト削減を提示しています。

この数字だけをみると、委員会は、民主党政権の「東電のリストラを徹底して国民負担を最小化する」という耳障りの良い言葉を忠実に守ろうとしているように見えます。しかし、報告書をよく読むと、実は全然違っており、むしろ東電を再生させることばかりに注力して、すべてのツケを国民に回そうとしていると言わざるを得ません。

報告書の中に以下のような表現があるのをご存知でしょうか。

「(東電の実態純資産を把握するにあたって)支援機構が東電に対して資金交付により援助を行なうことで、同額の収益認識が行なわれるとの前提を置いた上で、調整後連結純資産には、既に発生した原子力損害賠償費の他今後計上すべき原子力損害賠償引当金についても反映をさせない前提で作成している。」

「特別負担金額(筆者注:支援機構が東電に資金を融通した場合に、東電が将来分割で返済する金額)は…上記実態純資産の把握にあたっては考慮していない。」

平たく言えば、損害賠償の費用は支援機構が融通してくれるので、損害賠償費用を抜きにして東電のB/Sや今後の事業計画を考えると言っているのです。東電のリストラは上積みされたけど、それは被災者の損害賠償の原資を捻出するためのではなく、東電をピカピカの優良企業に再生させるために行なわれるのです。

実際、第3次補正予算が成立すれば、国は支援機構に5兆円の資金(交付国債)を提供するので、賠償費用はこれで全額賄えます。もし賠償費用が膨らんでも、支援機構法上政府は予算を無制限に投入できます。つまり、将来的に東電が返済する義務を負っているにしても、当面は賠償費用は政府が丸抱えするのです。

だからこそ、賠償費用が除外されると東電は資産超過の状態だから、減資や債権カットを通じて株主や債権者の負担を求めることも不要と結論付けています。

同じ失敗を繰り返す学習能力のない政権
もちろん、この方式がいいんだという役人的な屁理屈はいくらでも作れます。しかし、やはり国民感情としてはまったく納得できません。

原発の事故を起こしたのは東電という民間企業です。政府は東電に事故の責任があると明言しているのですから、それならまずは東電が自力でできる限りの賠償を行ない、それが無理になった(資産がゼロになった)段階で初めて政府が支援すべきですし、その段階では東電の株主や債権者も責任を負うのが筋ではないでしょうか。損害賠償費用を国が丸抱えする位なら、市場のルールに基づいて淡々と東電を一時国有化→破綻処理すべきではないでしょうか。

そうした当たり前のことをせずに、被災者を蚊帳の外に置いて東電の再生のためだけのリストラ上積みを行ない、かつ原発の再稼働か大幅な電気料金値上げが不可欠と主張している報告書は、東電の延命が至上命題の経産省・東電の意向に沿ったひどい内容と言わざるを得ません(ちなみに、報告書がこれだけ東電寄りの内容にも拘らず、リストラが厳し過ぎると不満を言っている東電の腐り切った体質には空いた口が塞がりませんが)。

かつ、東電のリストラ上積みがさも被災者のためであるかのように装って説明して報道させる経産省の姿勢もひどいと言わざるを得ません。

そして、よく考えると、今回の東電に対する政府の対応は、民主党政権のこれまでの二つの失政をまた繰り返そうとしていることに留意すべきです。

一つは、JAL再生の失敗です。JALの経営危機が騒がれたとき、政府は投融資で1兆円もの予算を投入しましたが、結局JALという民間企業がゾンビのように生き長らえただけで、後は何も変わらないどころか、自力で頑張っているANAに対抗して安売りを行なうなど民業を圧迫しているだけです。

ちなみに、JAL再生に関わった改革派の人たちは、“今はJALを生き延びさせるけど、将来的にはJALの国際線をANAと統合して世界の航空市場に通用するナショナルキャリアを作るんだ”と言っていました。しかし、その後時間が経って今はどうなったでしょう。稲盛会長という政治力を持つ守護神を得たJALはある程度力を取り戻し、今やそれを国内線と国際線に分割することなど不可能でしょう。

今回の東電への対応についても、関与している改革派の人たちは、“今はしょうがないけど、将来的に法的整理をやれるかもしれないし、東電はそのままでも発送電分離や料金算定方式の変更は勝ち取るんだ”としきりに言いますが、東電が今の苦境を乗り切って再生したら、得意の政治力を発揮してそうした改革を確実に潰すでしょう。JALのときと同じように東電が生き長らえるだけで、後は何も変わらない可能性の方が大きいのです。

小泉時代に金融担当大臣補佐官として不良債権処理に携わった経験から、大規模な改革ほど、問題が顕在化した段階で一気に進めないと失敗します。だからこそ、改革する気がない官僚に任せてはダメなのです。それはJALの再生の失敗からも明らかです。それなのに、委員会の運営を官僚任せにした結果が今回のひどい報告書であり、JALでの失敗が更にスケールアップした形で繰り返されるというのは、情けない限りです。

そして、もう一つの失政は、まさにこれから政権が進めようとしている復興増税です。野田政権は復興増税で国民に負担を求めながら、その一方で、朝霞の公務員宿舎の建設は始めるわ、公務員の給与は下げないわと、公務員の既得権益は維持しようとしました。

今回の東電への対応も、東電、株主、債権者の既得権益を維持しつつ、賠償費用は国が丸抱え、電気料金も大幅値上げとすべてのツケを国民に回そうとしている点で、復興増税とまったく同じ構図です。

しかし、そんないい加減な対応を国民が許すはずがありません。復興増税の方はどうなっているでしょうか。国民の怒りを買い、9月の世論調査では過半数が復興増税に賛成していたのに、先週末の世論調査では半数以上が復興増税に反対と答えました。政権は朝霞宿舎の建設凍結というその場凌ぎの対応を迫られるに至りました。

国民もメディアも怒るべき
民主党政権の2年は失政の連続ですが、東電への対応は最悪です。支援機構法の中身もひどかったですが、今回の報告書が示した対応の方向性は更にひどくなっています。

ここまで被災者の方々を置き去りにして、かつすべてのツケを国民に安直に回してまで、東電を中心にした既得権益を守ろうとする政治家と官僚の志の低さ、国民をバカにした姿勢には、吐き気すら感じます。原発事故の被災者の方々に報いるためにも、国民もメディアも今度こそ真剣に怒るべきではないでしょうか。

ダイアモンドオンライン 2011/10/07
http://diamond.jp/articles/-/14327

2011年10月21日金曜日

除染の効果に期待してはいけない(完璧な除染は不可能)

2011年10月17・18日 小出裕章「吉田照美 ソコダイジナトコ」

吉田照美ソコダイジナトコ(文化放送)
週刊エンター:スペシャル企画
「原発のウソ、そしてホントの話 パートⅡ」
2011年10月17~18日
京都大学原子炉実験所 助教 小出裕章



具体的に除染に言及する箇所からの再生はこちら。
除染の効果に期待してはいけない(完璧な除染は不可能)
http://www.youtube.com/watch?feature=player_detailpage&v=pZWfCkBsiIw#t=1159s

山本太郎さんが小倉智昭さんと加藤浩次さんを問い詰める




山本太郎、猛烈な地上波批判!加藤浩次と小倉智昭にかみ付き「地上波はただの御用局」一触即発に凍りついたスカパー特別番組の裏側

[シネマトゥデイ映画ニュース] 
今月始めに放送された「BSスカパー!」開局記念番組の放送中、総合司会の極楽とんぼ・加藤浩次と、ゲストの山本太郎とのトークであわや一触即発の事態が起こっていた。

今月1日、34時間にわたって放送された「BSスカパー!」開局記念番組の総合司会を加藤と共に務めたのは、フジテレビ系列で放送中の朝の情報番組「とくダネ!」のメインキャスターとして活躍中の小倉智昭。「スッキリ!!」のキャスターでもある加藤と共に、朝の顔が二人並んだ、特別番組にゲストとして登場したのが、原発問題で話題を呼んでいる山本太郎だった。山本は、この日の真夜中から放送された、岩井俊二監督のドキュメンタリー作品「friends after 3.11」の放送直前に、岩井監督、作中でナビゲーター役を務めた松田美由紀と共に、スタジオトークに登場。岩井監督と松田が作品を作った経緯を説明し、和やかに始まったトークだったが、山本の、「ぼくは毒吐き役ですから。海へ空へと毒を垂れ流す東電ばりに毒を吐きます!」という一言で空気は一変。「キー局でやられている皆さんの番組では、おそらく局側がブレーキをかけていると思います」と、地上波・情報番組のメインキャスターを務める二人にかみ付いた。

山本の発言に対し、小倉は「局側がブレーキをかけているというよりも、手元に入ってくる情報が、東電や政府の発表しかないから……」と当惑した様子だったが、山本は、「でもそれを流すだけっていうのは、報道機関としてどうなのかって話。オリジナルの取材はしているのか? どこまで? こんにゃくゼリーや、ユッケ問題には叩くのに、放射能問題の被害に関しては、これだけまき散らして、いろんなところに迷惑をかけて、そこまできちんと追求しているのかってことです。それをもって公平といえます? もしかしたらってことにまで踏み込んでいるんですか?」と強い口調で反論。加藤が、「踏み込んでるよ。スタッフも少ない人数で取材をしているけれど、もしかして違うことは言えないでしょ!」と応戦すると、「仮定として、それは流さなければいけない。それが報道の使命でしょ。こういう意見もあるということをセットで流さなければ。ただ国の言うことを垂れ流す、電力会社の言っていることを流しているだけなら、ただの御用局ですよ!」と激しい口調で地上波の報道姿勢を批判。穏やかな口調で、「気持ちは分かるんだけど、僕らはバランスというのを考えているんだよ」と話した小倉にも、「でもそのバランスのために、たくさんの人たちが、高濃度汚染地域に住まわされているんですよ」とチクリ。その後も、加藤と山本の「(事実を)隠していない!」「隠している!」を巡る激論は続き、スタジオに気まずい空気が流れたまま、「friends after 3.11」の放送時間に……。

放送から二週間、三人のやりとりは今だに、数々の動画共有サイトにアップされ、ネットでも大きな反響を呼んでいる。日頃から地上波での報道姿勢を批判している山本がゲストで登場することに、関係者も戦々恐々だったそうで、スタジオにいた関係者によると「福島への思いが人一倍強い山本さんと、ご自身の番組スタッフを思う加藤さん、二人は本当に一触即発、という雰囲気だったので、スタジオはピリピリでした。でも放送終了後は、小倉さんや岩井監督、松田さんが間に入る形で、最後は和やかになっていました」という。

ピリピリの雰囲気の中で放送された「friends after 3.11」だったが、本編はファンの間から絶賛の声が続々と届いており、劇場版公開への期待度も高まっている。なかでも、「自分の力が、余りにも小さいことに何度も何度も絶望しかけました」と、原発への危機感を切実に訴えた、「原発のウソ」「原発はいらない」などの著作で知られる京都大学原子炉実験所助教の小出裕章のインタビューは好評を呼んでおり、岩井監督のオフィシャルホームページでは、小出教授のインタビューのほか、ジャーナリスト上杉隆氏のインタビューノーカット版を配信している。(編集部:森田真帆)

シネマトゥデイ 2011/10/21 (引用)
http://www.cinematoday.jp/page/N0036319

山本太郎さんが小倉智昭さんと加藤浩次さんを問い詰める




山本太郎、猛烈な地上波批判!加藤浩次と小倉智昭にかみ付き「地上波はただの御用局」一触即発に凍りついたスカパー特別番組の裏側

[シネマトゥデイ映画ニュース] 今月始めに放送された「BSスカパー!」開局記念番組の放送中、総合司会の極楽とんぼ・加藤浩次と、ゲストの山本太郎とのトークであわや一触即発の事態が起こっていた。

今月1日、34時間にわたって放送された「BSスカパー!」開局記念番組の総合司会を加藤と共に務めたのは、フジテレビ系列で放送中の朝の情報番組「とくダネ!」のメインキャスターとして活躍中の小倉智昭。「スッキリ!!」のキャスターでもある加藤と共に、朝の顔が二人並んだ、特別番組にゲストとして登場したのが、原発問題で話題を呼んでいる山本太郎だった。山本は、この日の真夜中から放送された、岩井俊二監督のドキュメンタリー作品「friends after 3.11」の放送直前に、岩井監督、作中でナビゲーター役を務めた松田美由紀と共に、スタジオトークに登場。岩井監督と松田が作品を作った経緯を説明し、和やかに始まったトークだったが、山本の、「ぼくは毒吐き役ですから。海へ空へと毒を垂れ流す東電ばりに毒を吐きます!」という一言で空気は一変。「キー局でやられている皆さんの番組では、おそらく局側がブレーキをかけていると思います」と、地上波・情報番組のメインキャスターを務める二人にかみ付いた。

山本の発言に対し、小倉は「局側がブレーキをかけているというよりも、手元に入ってくる情報が、東電や政府の発表しかないから……」と当惑した様子だったが、山本は、「でもそれを流すだけっていうのは、報道機関としてどうなのかって話。オリジナルの取材はしているのか? どこまで? こんにゃくゼリーや、ユッケ問題には叩くのに、放射能問題の被害に関しては、これだけまき散らして、いろんなところに迷惑をかけて、そこまできちんと追求しているのかってことです。それをもって公平といえます? もしかしたらってことにまで踏み込んでいるんですか?」と強い口調で反論。加藤が、「踏み込んでるよ。スタッフも少ない人数で取材をしているけれど、もしかして違うことは言えないでしょ!」と応戦すると、「仮定として、それは流さなければいけない。それが報道の使命でしょ。こういう意見もあるということをセットで流さなければ。ただ国の言うことを垂れ流す、電力会社の言っていることを流しているだけなら、ただの御用局ですよ!」と激しい口調で地上波の報道姿勢を批判。穏やかな口調で、「気持ちは分かるんだけど、僕らはバランスというのを考えているんだよ」と話した小倉にも、「でもそのバランスのために、たくさんの人たちが、高濃度汚染地域に住まわされているんですよ」とチクリ。その後も、加藤と山本の「(事実を)隠していない!」「隠している!」を巡る激論は続き、スタジオに気まずい空気が流れたまま、「friends after 3.11」の放送時間に……。

放送から二週間、三人のやりとりは今だに、数々の動画共有サイトにアップされ、ネットでも大きな反響を呼んでいる。日頃から地上波での報道姿勢を批判している山本がゲストで登場することに、関係者も戦々恐々だったそうで、スタジオにいた関係者によると「福島への思いが人一倍強い山本さんと、ご自身の番組スタッフを思う加藤さん、二人は本当に一触即発、という雰囲気だったので、スタジオはピリピリでした。でも放送終了後は、小倉さんや岩井監督、松田さんが間に入る形で、最後は和やかになっていました」という。

ピリピリの雰囲気の中で放送された「friends after 3.11」だったが、本編はファンの間から絶賛の声が続々と届いており、劇場版公開への期待度も高まっている。なかでも、「自分の力が、余りにも小さいことに何度も何度も絶望しかけました」と、原発への危機感を切実に訴えた、「原発のウソ」「原発はいらない」などの著作で知られる京都大学原子炉実験所助教の小出裕章のインタビューは好評を呼んでおり、岩井監督のオフィシャルホームページでは、小出教授のインタビューのほか、ジャーナリスト上杉隆氏のインタビューノーカット版を配信している。(編集部:森田真帆)

シネマトゥデイ 2011/10/21 (引用)
http://www.cinematoday.jp/page/N0036319

2011年10月20日木曜日

「このバカタレ!」福島県の放射線量説明会で飛び交う怒号

東京都世田谷区で最大毎時3.35マイクロシーベルトという高い放射線量が検出され、10月12日に立ち入り禁止措置が取られた問題は、その後、区と文科省による検査で、原因は民家の床下から見つかった放射性ラジウムと判明。放射性セシウムが検出されなかったことから、福島第一原発の事故とは関係ないと断定された。

今回の問題が発覚したのは、区の独自調査によるもの。その背景には、政府が発表する放射線量調査の数値への不信があることは疑いようがない。はたして、正確な放射線量はいくつなのか、国民の不安は高まるばかりだ。

福島第一原発に近い地域の住民の不安や不信感は、当然のことながらピークに達しており、10月8日に福島市渡利地区の渡利小学校の体育館で開催された、国による周辺住民のための放射線量調査説明会では、激しい怒号が飛び交った。

「年間20ミリシーベルトまでなら絶対安全だと、誰が決めた! 専門家でもないのに、わかったような口をきくな、このバカタレ!」
「計測器の針が振りきれる、10マイクロシーベルト超のホットスポットがあちこちにあるんだよ!」

この渡利・小倉寺地区には、国が避難の目安とする年間線量20ミリシーベルトを超えかねない地点がいくつも存在する。参加者のひとりの菅野和敏さん(47歳)が次のように訴える。

「自宅前にある市道の側溝が20マイクロシーベルトもあるんです。家の壁や周りを高圧洗浄したのに、庭の芝生も3、2階の子ども部屋でも0.8~1もあります」

渡利地区の住民は、税の減免や避難費用の賠償などが受けられる「特定非難勧奨地点」の指定を求めた。しかし、説明会に訪れた国の担当者は、指定よりも除染作業を優先させる方針を強調し、次のように繰り返すばかりだった。

「渡利地区には年間20ミリシーベルトを超えるような地点はない。このまま渡利にお住まいいただいてもかまわない。子供さんもそうです。皆さんのお怒りはわかるが、国の制度ではそうなっています」(現地対策本部・佐藤暁氏)

同席した福島市職員も「避難の指定は国がするもの。市がどうとかこうとか、口を挟めるものではない」(富田光政策部長)。

「除染が先」という方針に対し、渡利地区の線量調査に関わってきた神戸大学大学院の山内和也教授は、「緊急除染では効果がない。“街の崩壊”を伴う除染が必要」と指摘する。

「汚染されたコンクリートを撤去し、アスファルトを剥(は)がすなどの、街の破壊にも等しい徹底的な除染が必要。屋根やアスファルトなどにセシウムがこびりついているため高圧放水をしたくらいでは除去できず、かえってセシウムを拡散させるだけで終わります。その間、希望者には避難をさせるべきでしょう」

説明会では国側の担当者は、除染を行なうといいながら日程は決まっていないと説明。参加した住民からはため息が漏れるばかりだった。

(取材/姜 誠)
週刊プレイボーイ 2011/10/18
http://wpb.shueisha.co.jp/2011/10/18/7530/

2011年10月19日水曜日

2011年10月18日火曜日

Heute Show 「犯罪会社東電」



obenquaken さんが 2011/10/17 にアップロード
ドイツのニュース風刺番組で2011年4月1日に福島事故問題が取り上げられました。
http://www.youtube.com/watch?feature=player_detailpage&v=kH00psyB4lc

32年勤めた東電を断腸の想いで告発する!:脱原発を主張する最大の理由は核廃棄物問題:蓮池 透

 北朝鮮との交渉促進が拉致問題を解決に近づける有効な手段という考えを打ち出して、経済制裁など強圧策を有効手段と考える拉致被害家族会と決別した蓮池透氏の原発論である。  東電社員として原発施設に関わった経験を織り交ぜながら東電の体質を明らかにしている。

 蓮池氏は、「原発に携わってきた一人として、自分も加害者ではないかという深い自責の念があります」と率直に話し、「現在、様々な立場の人が原発について論じています。しかし、東電の同僚やOBは、みんな口を閉ぎしたままです」と東電関係者のみっともない対応ぶりに落胆していることを匂わせている。

 蓮池氏は、結論として、「原発はフェイドアウトさせるほかないと考えています。その最大の理由は、核廃棄物です。原子力を使う以上、必ずどこへも持って行きようのない “核のゴミ”が出る。これは避けようがありません」と脱原発を主張している。

 文春編集部が「今回の福島第一原発の大事故をもたらしたのは、津波による被害だった」と誘導しているからだとも言えるが、福島第一原発の事故がここまで拡大したのは、津波のせいではない。
メルトダウンが地震と津波のせいと言えるのは、3月12日に水素爆発を起こした1号機くらいである。
非常用ディーゼル発電機が動かず1日程度AC電源の喪失状態が続くことは津波のせいにできても、2日、3日さらに10日もAC電源の喪失状態が続くのは、津波のせいではなく設備の質の問題なのである。

 政府・東電さらには米軍までが対応するという総力戦でありながら、電源回復ができず、事故発生から3日目の14日に3号機が水素爆発(3日目未明にメルトダウン)、4日目に2号機圧力抑制質が損壊(3日目夕方からメルトダウン)、4号機建屋が“損壊”した(燃料プールの“危機”)経緯を考えれば、「津波のせい」という見方はまったくもって見当外れであることがわかる。

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「週刊文春」10月20日号P.151

『蓮池 透 独占激白
福島第一原発の保守管理者として 32年勤めた東電を断腸の想いで告発する!


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蓮池透氏は、三十二年間、東電でずっと原子力部門に携わってきた。
その体験を踏まえ、先月『私が愛した東京電力』(かもがわ出版刊)を上梓。
今回、事故と東電について改めて語った。
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蓮池透氏は、かつて東京電力で原発の保守を担当していた。全訳のなかった厚発マニュアル、まったくなされていなかった津波対策、強引なコストカットの弊害……。自らも「加害者ではないか」と語る蓮池氏が、内部の目で見た、東電と原発の問題点を具体的に告発する。

私は一九七七年に入社以来、二年前に退職するまで東京電力に勤務していました。そのうち二度にわたり、計五年半、福島第一原発に赴任し、保守管理を担当していました。本店で、いま福島第一原発で所長を務める吉田昌郎さんと一緒に仕者をした時期もあります。

原発に携わってきた一人として、自分も加害者ではないかという深い自責の念があります。それと同時に、自分が問わった福島第一が、何故こんなことになってしまったのか、という複雑な気持ちもある。
現在、様々な立場の人が原発について論じています。しかし、東電の同僚やOBは、みんな口を閉ぎしたままです。実際に原発に従事した元社員として、今回の事故や東電という企業について率直に語ることが、日本が直面するこの難局を乗り切る一助になるのではないかと考えています。

七七年、入社して間もなく福島第一原発に赴任した私は、保修課に配属きれ、三年半の間、計測制御装置などのメインテナンスを担当しました。私の担当は3・4号機でした。点検作業の確認などで、原子炉の底などにも入ったため、福島にいた五年半で、合計約一〇〇ミリシーベルト被曝しています。東電社員でも多い方でしょう。
赴任して最も驚いたのは、メインテナンスに関する日本語のマニュアルがなかったことです。

福島第一の1号機は米GE社製で、ターンキー契約でした。つまり完成品と運転キーを渡されたわけです。同時にマニュアルも渡されたのですが、物凄く分厚い上に全て英語。
運転に関しては、マニュアルを日本語に全訳し、米国に運転員を派遣して実地で訓練を受けていました。しかし、メインテナンスはそうした米国での訓練もありません。マニュアルも原子炉本体やタービンなどの重要な機器に関しては、日本語訳を作り、メンテの手順を確立していましたが、細かいところまでは行き届いていなかったのです。

だから換気空調系の設備などで、私が点検工事を起案し、初めて点検した、というケースもありました。ボロボロに錆びていて、足で蹴ると錆びが落ちてきたりしたものです。
今回の事故でも、原発そのものがアメリカかちの輸入技術で、その問題点を東電側がきちんと把握できていなかったのではないか、といった批判がなされていますが、最初に私が赴任した時点では相当手探りの部分があったのは事実です。


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今回の福島第一原発の大事故をもたらしたのは、津波による被害だった。
外部電源が喪失し、冷却装置なども水浸しとなり、横能不全に陥った。
東電は「津故による被害は想定外」と主張するが、実態はどうだったのか。
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「今回の津波は想定外だったとしばしば言われます。しかし、「想定外」とは、ある予測をしていて、それを超えたものが来た、ということ。福島第一に関しては、津波の被害はまるで考えられていませんでした。想定外ではなく、「無想定」だったのです。

福島第一周辺で観測されている最高潮位は、満潮時を考慮してでも六m弱という認識で、それに対し敷地は十m以上の高きがあるから大丈夫だと誰もが思い、国もそう認定していました。

リアス式海岸にある東北電力の女川原発などは津波対策が絶対に必要だが、福島には来ないだろう、と同僚と話したことを覚えています。たから、福島では循環水ポンプなども野ざらしになっていましたが、雨に濡れても大丈夫なのかな、といった程度の認諌でした。

当時、我々が懸念していたのは、仮に津波が来たら必ず引き潮がある。むしろそのときの方が怖いということです。引き潮で、本来あるべき海水が引いてなくなったら、海水で冷却できなくなる。これはまずいなと話していました。

その一方、地震についての審査は厳しかった。過去の地震についても古文書をひもといて調べ、どれ程の揺れがあり、その揺れに耐えられるのか、地表を踏査して断層を調べ、活動性のある断層の長さはどれくらいなのかなど学術的に詳細に調べました。

また、原発の様々な機器についても、本当に厳しい検査を行っていました。日本の原発は「常に新品同様であれ」という独自の思想に基づいて、審査がなされます。「ちょっと厳しすぎやしませんか」と思うことも多々あったほどでした。


液化天然ガスとコストが拮抗

津波に関して、東電は最近になって、〇八年に「十m以上の津波が来る可能性がある」とする試算を行っていたと発表しましたが、何ら対策はとられませんでした。これには、ひとつの理由が考えられます。それは、東電という「株式会社」の体質に起因している。

原発のような大規模で厳しい基準が求められる設備の場合、その改造には相当の時間とお金がかかります。
それをまだ何の問題も起きていない段楷で安全のために着手する、という姿勢は東電にはありませんでした。地震や機器の検査に厳密なのは、かつて問題が生じたことがあったからです。

さらに東電が恐れていたのは、もし「津波が来たら、今の態勢では危険があるから、非常用ディーゼル発電携を高台に移設しよう」、とか、「建屋の密封牲を高めましょう」と発表したとすると、地元やマスコミから、「じやあ、今まで危険なまま何年も運転していたのか」と必ず言われる。それが怖いのです。

さらには、設置許可を出した国のメンツもあります。旧通産省のお墨付きで、福島第一原発を建設したわけですから、「我々が許可しているのに、それにケチをつけるのか。根拠はあるのか」と国は言うでしょう。それも東電にとっては、何より避けたい事態だった。

コストのために、安全性を犠牲にしたという点では、私にも忸怩たる思いがあります。八三年に本店の原子力計画課に配属されたのですが、そこでの仕事はギリギリまでコストカットを進めることでした。

「他の発電に比べコストが安い」というのが原発の大きなセールス・ポイントでした。ところが、当時から液化天然ガスによる火力発電とコスト的に拮抗してきていた。だからトップダウンで一円でもコストを安くしろ、と言われたのです。

私がやらされたのは、新潟・柏崎刈羽原発3・4号機の建設コスト削減でした。

もうフェイドアウトしかない

原発の基本的な設計思想として、必ず同じ機器を二台以上用意しておく、というものがあります。どんな機器でも故障するから、必ず予備を用意しなくてはならない。
ですが、機器にはフィルターや配管といった「静的機器」と、ポンプやモーター、ファンといった「動的機器」があります。この二種類を比べると、動的機器は圧倒的に故障率が高く、静的機器は低い。私たちはここに日を付けました。静的機器は二台なくても大丈夫だろうと。

たとえば、原子炉格納容器の中に水をスプレーするリング状の配管があります。二個のスプレーリングそれぞれにポンプが繋がっているのですが、リングは静的機器で故障しないだろうから一個でいいんじゃないか。それで、二台のポンプから一個のリングに給水出来るような設計にして、リング一個分のコスト数千万円を削りました。

他には、格納容器や原子炉建屋に放射性物質が出たときに、それを濾過して取り除いてから外に排気する、井常用ガス処理系という設備があります。その濾過するフィルターは静的機器だから故障しないよなと、やっぱり一台に。これでも数千万円のコスト削減になります。

この時、同じ時期に作業していた中部電力の設計部隊は、スプレーリングを一つにしなかったのです。そこで我々が「こっちに揃えてもらわないと困る」と言うと、中部電力は「学者に相談したら、それはまずいと言っている」と返してきました。

こうした設計段階でのコストカットで、その後、問題は生じていません。ですが、安全を保ちつつコストは減らせというのには、常にジレンマを感じていました。

今回の事故は、多くの日本人に、もう原発に頼れない、という思いを抱かせました。長年、原子炉に携わってきましたが、私自身ももう原発はフェイドアウトさせるほかないと考えています。その最大の理由は、核廃棄物です。原子力を使う以上、必ずどこへも持って行きようのない “核のゴミ”が出る。これは避けようがありません。

東電をはじめ、電力事業者はこの現実を真摯に見つめ、本腰を入れて原発に代わるエネルギーの開発にカを注ぐべきです。それが元原子力技術者、元東電社員としてのラスト・メッセージです。』

 

2011年10月15日土曜日

当たり前の新聞を目指す

「新聞週間」が十五日から始まります。情報がはんらんする一方、世界の先行きは見通しにくくなるばかりです。政府も情報統制を強めようとしています。自由で独立し信頼に足る言論の存在は、ますます重要です。私たちは何者にも気がねせず報道し、自分の頭で考え発言する本来の新聞を目指します。

「新聞は真実を報じているか」「偏った見方を伝えているのでは」。読者の疑問は強まっているように感じます。それは一部新聞に、特定の政党政派にくみしたり、官僚、業界の代弁をしたりする傾向がみられるからではないでしょうか。

私たちは与党にも野党にも気をつかわず、官僚や業界に取り入ることもありません。誰の主張であろうと、多くの国民の利益にかなうと思えば支持し、背くものであれば反対します。政府への提言も大切ですが、鋭い直言を持ち味にしたい。

判断の基準は庶民の常識です。大衆追随と批判を浴びそうですが、庶民は正確な情報さえあれば賢い判断を下します。世間で広く認められる見方に知恵が込められています。

地震大国日本で、大きな事故が起きれば収拾できず、処理できない放射性廃棄物をため込む原発と共存できるでしょうか。力にものをいわせる風潮が広がるアジアで米国とのきずなは大切ですが、沖縄の人々が集中する米軍基地に反感を募らせていては、日米関係は安定しません。

膨大な借金を抱える日本は将来の増税もやむを得ないでしょう。
しかし、国会や霞が関が無駄を削らず国民にばかり負担を押し付けるのは許せません。

これらは難しい理屈ではなく、庶民としての当然の判断です。社会は複雑化し、記者が専門知識を磨くことも大切です。しかし、官僚や専門家に取り込まれ、彼らの価値観で発言するようになっては頼りになりません。

地方重視は本紙の原点です。地方の現実に分け入ることで、東京ではわからない発想を得ることができます。事件の現場に行き新しい発見をすることは記者の出発点でした。

読者からのお叱りやご意見は論説を考える貴重な糧です。起伏の多い道を歩みながら書き続ける私たちにご支援をお願いします。

東京論説主幹 清水美和

中日新聞 2011/10/14 (引用)

2011年10月14日金曜日

Happyさんのつぶやきまとめ2011/10/14

ただいまっ(^O^)今日も無事終わりました。今日はカバーリングのカバーの最後の天井がついてカバーは完成しました。まだ換気空調や照明工事と炉内注水配管工事があるけどね。1号機の上部配管の水素は今週末に抜く予定だったけど延期になりそう。下部配管より難しくて色々検討中です。
続き1:来週中には水素追い出して配管工事したいんだけど…。あと来週は1号機の高線量の場所の調査もしなきゃだから忙しいよ。久しぶりに4号機の話をすると、4号機オペフロの燃料プールのカバー工事は終わったよ。

続き2:来週末か再来週からは建築グループがいよいよ最上部の鉄骨解体が始まりそうな感じ。因みに原子炉建屋の搬入口のエンクロージャ部は今週解体してなくなったよ。あっという間だったなぁ…。2号機も3号機も水素濃度含めて調査してるよ。汚染水処理システムも追加工事で毎日頑張ってるでし。

続き3:まぁ現場はこんな感じでし。それにしても最近はマイカー一時帰宅が毎日すごい数ですよ。いっぱい持ち出してるでし…。Jヴィレッジも体育館脇に新たな建物が出来て装備やAPDの貸出場所出来たから正面玄関はすっきりしたでし。とまぁ色々少しずつ変わってきてます。

続き4:これからの問題は汚染水の量が地下水の流入でなかなか減らない事と1~3号機のPCV内の状況をいかにして把握するのかということ、増え続ける瓦礫や放射性廃棄物の問題。あともうひとつは地域除染。直近の大きな問題点はこんなとこかな。

2011年10月8日土曜日

東電、年5千万円パーティー券 献金自粛の一方で購入

東京電力が2009年までの数年間にわたり、自民党を中心とした50人以上の国会議員のパーティー券などを少なくとも年間計5千万円以上購入していたことが分かった。原子力政策における各議員の重要度や、電力施策への協力度を査定して購入額を決定。1回あたりの購入額を政治資金収支報告書に記載義務がない20万円以下に抑え、表面化しないようにしていた。

東電は1974年以降、「電力供給の地域独占が認められた公益企業にそぐわない」として企業献金を自粛している。その一方で、組織的に議員をランク付けし、パーティー券を購入する形で資金提供していた実態が初めて明らかになった。

複数の東電幹部らによると、東電本社には毎年、国会議員本人や秘書から政治資金集めのためのパーティー券購入の依頼が、窓口役の総務部に多数寄せられていた。東電はパーティー券の購入予算枠を確保しており、毎年50人以上の議員に配分したという。

議員ごとに原子力政策における重要度、東電の業務への協力度などを査定。東電の原発が立地・建設中の青森、福島、新潟の3県から選出された議員や、電力会社を所管する経済産業省の大臣、副大臣、政務官の経験者などは、購入額が高い議員にランク付けされた。

議員の政治団体や資金管理団体が開いたパーティーや勉強会に対する1回あたりの購入額は、政治資金規正法に違反せずに企業名を出さないようにするため、収支報告書に記載義務がない20万円以下と決められていた。査定が高い議員は上限の20万円を複数回購入。東電との関係が浅い議員は券2枚を計4万円で購入したり、依頼を断ったりしたという。

パーティー券の購入は長年続いていたとみられ、09年までの数年間は、毎年5千万円以上を購入。約1億円にのぼった年もあった。

また、09年の政権交代までは、自民党議員と民主党議員の購入金額の割合は約10対1と、自民党側が中心だった。交代後の10年も券購入を続けたが、民主党議員の購入額を増やしたという。

パーティー券購入について、東電元役員は「東電の施設がある県の選出議員かどうかや、電力施策や電力業界にどのくらい理解があるかを考慮した。関連企業に割り当て分を購入してもらうこともあった」と証言。収支報告書に社名が記載されないように金額を抑えた点については、「政治家と公的な企業につながりがあるというだけで、良からぬ見方をされる。表にならないに越したことはない」と話している。

東電広報部はパーティー券購入について、「社会通念上のお付き合い程度で行っているが、具体的な購入内容は公表を控える。飲食への支払いで、対価を伴っているので、政治献金ではない。(企業献金の自粛とは)矛盾していない」としている。(市田隆、藤森かもめ)

asahi.com 2011/10/02
http://www.asahi.com/national/update/1001/TKY201110010500.html