福島原発事故による放射能問題が、製品から再生資源全般の物流停滞要因としてクローズアップされ始めている。電線・伸銅・アルミ製等輸出向けについては、国際的な放射線量の基準値問題が絡んだ検査のためのコストアップ要因が出現。
製造面では汚染回避のための生産拠点の関西・中部地域へのシフトという新たな動きが表面化し始めている。これを受けて、製品・原料両面では東日本と西日本という物流の劇的な変化も現れており、汚染の可能性のある東日本の範囲にある原料問屋業界は、確実に仕事量が落ち込むという実質的な被害の拡大という形で現れている。
放射能問題は、銅電線、伸銅製品、アルミダイカスト製品関連やステンレス、電炉製品までの製品から原料スクラップにリンクした物流の停滞という形で全業界に深刻な影を落としている。
《アルミ業界》
アルミ地金再生2次合金メーカーの一部からは以下のような深刻な問題が表面化している。
原発に近い工場を持つ某社は、アルミ缶を溶解して2次合金地金を製造しているが、在庫してあったアルミ缶の放射能線量がやや高い数値を示している。このため在庫をそのまま溶解したのでは製品に規制値以上の数値が出るとして、数値を押さえ込むために汚染していないアルミ缶を新たに入手して放射能を薄めなければならないという事態に追い込まれている。
新たに入手するアルミスクラップの健全性を証明と規制値以上の現物の流入を避けるために、受入ヤードについてはゲートモニターの設置や検査要員の確保等、新たなコストアップ要因への設備投資を迫られているのが実情だ。
この流れは、アルミ、伸銅、電線等これまでゲートモニターの設備が必要ではなかった全ての業界にまで波及しており、風評被害どころではない実害としての放射能問題が様々な業再生資源業界に広がっている。
また、アルミダイカスト業界では加工品の物流に関して新たな動きも出始めている。
汚染の可能性のある原料を使用して型に流す作業について、汚染の恐れのない中部・西日本地域に製造工程をシフトする向きが多く、結果として東日本マーケットでの物流絶対量の減少という深刻な被害も出始めているというのが現状だ。
此処に来て自動車メーカー各社の本格稼働の前倒しが見込まれるものの、工程別で見ると部品の不安定な供給の下で仕事量の絶対量は完全に低位に張り付いたままというのが現状だ。
アルミ脱酸向けも同様の対放射能検査機器の導入を迫られる業種だ。
《電線・伸銅》
今のところ原料そのものの放射能被害については、規制値を上回る形での明確な形は出ていないようだ。しかし、輸出製品に関しては、国際基準をクリアする必要があり、製品輸出段階での検査機器の導入といった新たな設備投資を迫られることになりそうだ。
現時点で問題化していない銅・銅合金原料スクラップの放射能問題だが、今後の復興ペースによっては、放射能汚染地域からの再資源化物資の流入という問題は避けられないだけに、これまで検査機器に縁のなかった非鉄金属原料問屋業界も、ガイガーカウンター等対放射能検知機器の設備導入を余儀無くされることになりそうだ。
問題は、放射能問題がもたらした地域の区分けが確実に進んでいくことで、季節風が変る夏場を控えて、東北(山形、秋田方面)地区からの流入現物に対しても汚染の可能性を考えなければならない事態を迎えそうだ。
日刊資源新報 2011/5/9 (引用)
http://www.shigenshinpou.com/news/bucknumber/2011/5-9.html
つまりは、缶ジュースも安全とは言えないということなのか?
がっかりだ。
0 件のコメント:
コメントを投稿