【ニューヨーク共同】5月31日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、福島第1原発事故で原発の安全性に深刻な懸念が生じた後も、日本で草の根の大規模な反対運動が起きないのは、政府や電気事業者から支出される補助金に依存する地域構造があるからだと分析する長文の記事を掲載した。
「日本の原発依存」という見出しの記事は、補助金や雇用が日本の原発を「揺るぎない現実」にしていると報道。
松江市の島根原発を取り上げ「40年以上前に立地の話が持ち上がった時は、地元の漁村が猛反対し、中国電力は計画断念寸前に追い込まれた」と指摘。しかしその約20年後には「漁協に押された地元議会が3号機の新規建設の請願を可決した」とし、背景に公共工事による立派な施設建設や潤沢な補助金があったと伝えた。
同紙は、補助金への依存により、漁業などの地場産業が衰退していくと報道。広島、長崎で原爆投下を経験しながら、米国のスリーマイルアイランド原発や旧ソ連のチェルノブイリ原発の事故後に欧米で起きたような反原発運動が起きなかったのは、補助金への依存が理由とした。
記事は「この依存構造のせいで地元は原発に異を唱えられなくなる」とする福島大副学長の清水修二教授(地方財政論)のコメントも伝えた。
共同通信 2011/06/01 00:00 (引用)
http://www.47news.jp/CN/201105/CN2011053101001118.html
その他原文には、安全性に対する懸念があるにもかかわらず、菅首相が原発推進派であり、強引に世論を押さえ込むことに躍起になっていること、原発推進が過疎地域社会の経済基盤を変化させていること、農業や漁業から後戻りが出来ない高収入の原発従事者へと変化させていることを薬物中毒患者の増加に例えている。
また執拗に安全上の懸念があるにもかかわらず、原子力発電の拡大を推進してきた政治家、官僚、裁判官、原子力業界の幹部が問題であるとも述べている。
そして「日本で原子力発電所と呼ばれる施設は、実際には政治力発電所と呼ばれるべきだ」というジョークの紹介や、あれだけの事故があったにもかかわらず、日本の国民の半数近くが原発推進派であるという捏造データを真に受ける国民の愚かさに呆れるとも。
最後に、過疎化が進む地域では、原子力発電所以外は何も収益をもたらさないことは確かだ、という締めくくりである。
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