2011年5月25日水曜日

六ヶ所再処理工場の潜在的危険性 ―使用済み燃料プールの事故災害評価―

原子力資料情報室通信381号(2006/3/1)より

原子力資料情報室通信381号(2006/3/1)より


六ヶ所再処理工場の潜在的危険性―使用済み燃料プールの事故災害評価―

上澤千尋

 六ヶ所再処理工場の使用済み燃料貯蔵プールにおいて、大規模な放射能放出事故が起きた場合の住民の被曝線量の計算と健康被害の考察を行ない、六ヶ所再処理事業許可取り消し訴訟の証拠として青森地裁に提出した。
 申請書の使用済み燃料貯蔵プールの仕様から、使用済み燃料3000トン(最大貯蔵容量)が貯蔵されている状態で、内蔵する放射能のうちの1%、つまり30トン分の放射能が環境中に放出されることを想定した。これは施設の潜在的な危険性をみるためで、ここではどういう事故が起こるかは考えずに、仮想的にそれぞれの核種の放出割合はすべて1%と仮定した(すべての使用済み燃料をウラン酸化物燃料起源のものとし、燃焼度は55000MWd/t、原子力発電所での冷却期間を1年間とした)。
 他の計算の条件としては、放射能の放出高度は10メートル、風速は4.0m/秒、大気安定度はD、天候は降雨なし、放射能の広がり角は15度をそれぞれ設定した。
 計算の結果からおもな被曝影響(健康影響)とその影響をおよぼす範囲をまとめたものが表1である。これを地図上に表示し、風が東京方面に吹いているケースについて、放出された放射能が広がる範囲、すなわち、被曝の影響が広がる範囲を扇型で示したのが図1である。
 半数致死線量を3シーベルトとすると、その影響を与える可能性がある範囲は134.4キロメートルに達し、三沢、八戸、むつ、青森、函館、弘前、盛岡がふくまれる。急性障害を引き起こすと考えられる250ミリシーベルトの被曝線量は、691.1キロメートルにまで広がり、首都圏の広い範囲(東京23区、さいたま市、横浜市など)や、北信越地方全体、北海道全体がその対象範囲となる。

六ヶ所再処理工場・使用済み燃料貯蔵プールにおける事故時の放射能放出に関する計算書m
http://cnic.jp/files/rk-sf_acc2006.pdf

原子力資料情報室 (引用)被害の広がり予想地図を閲覧できる
http://cnic.jp/modules/smartsection/item.php?itemid=20


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