外交交渉の過程において密約は許されるのか。
さまざまな意見があるが、日米安保条約改定時の核持ち込みなど四つの密約問題を調査した昨年3月の有識者委員会報告書は、外交には「ある期間、ある程度の秘密性はつきものである」と認め、秘密にしたことの妥当性は当時の国際環境や国益に照らして判断すべきだとした。そのためにも30年後を原則に外交文書の公開をより進めるよう提言している。
しかし、このような論議を飛び越し、最近の外交文書が内部告発サイト「ウィキリークス」によって次々と暴かれている。日米関係では今月初めに明らかになった米公電の内容がとりわけ衝撃的だった。
公電は2006年4月の日米交渉で、沖縄の米海兵隊のグアム移転費として盛り込まれた軍用道路建設費10億ドルについて「米国はこの道路を移転に当たって絶対的に必要なものとは考えていない」「費用全体を膨らませることにより、日本の負担比率を(見掛け上)減らすことができる」と伝えていた。
さらには「移転対象の海兵隊員と家族をそれぞれ8千人と9千人とした数字は日本向けに意図的に最大化したものだ」とも。日本側も数字の操作を承知していたとされる。
後世の歴史的検証に堪え得る密約とは到底思えない。密約と呼ぶよりも、税金の使途を欺く犯罪的裏取引ではないか。
東日本大震災と原発関連の報道は当面、最優先で続く。しかし、見逃してはならない他の重大ニュースも多々あると肝に銘じたい。(K)
四国ニュース 2011/05/23 09:25 (引用)
http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/column/20110523000098
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