東日本大震災で両親が死亡・行方不明となった子供の養育で、引き取った親族を対象に国がすすめている「親族里親」制度の活用が進まない。認定を受けた世帯には子供の生活費などが支給されるが、認定はまだ2件にとどまることが分かった。親族自身が被災して生活再建の見通しが立たず、申請が困難なためとみられる。被災地で長く里親家庭を営む人たちは「もっと制度を知ってもらい、手続きをしやすくする工夫が必要」と訴える。
厚生労働省や自治体によると、今回の震災で両親を失った18歳未満の子は155人(24日時点、宮城県80人、岩手県57人、福島県18人)。児童福祉施設に入所した宮城の2人を除き、ほぼ全員が親族の元に身を寄せている。国は家庭的環境を重視し、同じ県内にいる親族を優先して、3親等以内の親族が里親になれる制度の活用を呼びかけてきた。認定されれば生活費(月額4万7680円。乳児は5万4980円)と教育費が支給され、養育環境の改善が望める。
だが、正式な申請は3件(岩手県2件、仙台市1件)にとどまり、認定に至ったのは23日に決定した岩手県の2件のみ。宮城県や岩手県の児童相談所関係者は「まだ避難所にいたり、養育者を誰にするか話し合っている段階の親族もいる。提出書類をそろえて面談する手続きへの負担感もあるかもしれない」と話す。
一方、宮城県で塩釜地区里親会会長を務める大枝邦良さん(64)は「子と親族の深い傷を和らげながら、丁寧に説明するしかない。手続きの負担を減らす工夫も必要」と指摘。制度を知らない親族もいるとみられ、児相職員が個別に訪問を重ね、理解を深めるべきだとの声もある。
また、こうした子供は親権者のいない状態だが、相続や保険の手続きなどの際に法定代理人となる「未成年後見人」についても、児相が選任を家裁に請求したケースはまだない。児相の多くは「親族間で適任者を申し立ててもらうのが望ましい」とするが、津崎哲雄・京都府立大教授は「子供の立場で権利行使する人がいない状態が長引くのは問題」と指摘。全国里親会運営委員の青葉紘宇さんは「親権者のいない子には全員、未成年後見人をつけるのが原則。親族任せでなく、法律家の援助を入れるなど、行政が工夫して支援すべきだ」とする。【野倉恵】
毎日.jp 2011年5月25日 2時30分 (引用)
http://mainichi.jp/select/today/news/20110525k0000m040141000c.html
悲しい。
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