2011年5月21日土曜日

「国策」は国家責任が伴うのか。それでは民間企業の責任は?

 電気事業連合会が東電の賠償遂行のために他の9社も資金を拠出する根拠が明確でなければ債権者や株主に対して説明できない。よって東電に対して「原発を国策として推進した」政府の責任により国家負担を明確にしなければならない、と政府に申し出たようだ。

 原発は国策で推進したのだから国に賠償責任があるのは当然だ、というのなら「国策」で物事を進めることは何もできなくなるだろう。地域独占を保障されている企業がそこまで大きな顔をして政府に物申すとは驚きだ。

 それとも電気事業連合会が全国の10電力会社は民間企業だと開き直るのなら、民間企業の常識として「重大な事故」を起こせばその賠償で倒産するのも当たり前だという厳しい現実を教えなければならないだろう。

 東電は自己責任もなく、当事者として原発から利益を上げることもなく、厭々ながら「国策」だから東京から遠く離れた土地に原発を造って発電していたというのだろうか。

 他の電力会社も厭々原発を「国策」だから仕方なくやっていてたというのだろうか。従って、どんな事故が起ころうと当事者責任はなく、国が補償することにせよというのだろうか。

 政府に「原発は国策で始めたのだから政府が賠償すべきだ」と申し入れた電気事業連合会は記者会見で広く国民に連合会の意思を表明してみれば良い。そうすると全国民を敵に回すのは間違いないだろう。

 国策は国策であって国がやったことではない。当事者はあくまでも電力会社であり、電力会社が一義的責任を負うのは当然だ。それを「倒さない」ことを前提に、銀行も債権切り捨てをしないし、株主も株式償却による損失を被らないし、転換社債もこれまで通りボロ儲けのカネの成る木でなければならない、というのなら税をジャブジャブ注ぎ込んで国民が東電の尻拭いをすることを電気事業連合会は申し込んでいるというのだ。これほど大甘な感覚でいても倒産しない経営とは何だろうか。さすがは無競争の地域独占企業だ。

 国民は東電社員が民間企業と比較して恵まれた高給取りであることに我慢ならない。電力会社が民間企業だというのなら、とことん民間企業の常識に従って事故の補償を行うべきだ。それで倒産するのなら仕方ないだろう。それが民間企業というものだ。電気事業連合会は自分たちの置かれている立場をよくよく理解することだ。これまでと異なる社会風景が取り囲んでいると分からないで、政治家や官僚は買収した味方だから心配ない、と思っているとしたら大間違いだ。

 枝野氏も長年政治家や学者や官僚が甘やかしてきたらどうなるか、東電で良くわかっただろう。ゆめゆめ電気事業連合会に甘い顔をしないことだ。

日々雑感 2011/05/19 19:26 (引用)
http://km2295.iza.ne.jp/blog/entry/2290031/

海外には、これだけの利権と国家から存続を保障される事業であるならば、幾らでも東電に対して出資するという輩がごろごろいるのだ。

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