2011年5月11日水曜日

大荒れ一時帰宅「自己責任」署名に住民怒

 いよいよ一時帰宅という段になって、場の空気は一転した。そこに住民の怒号が渦巻いた。

 「ナロウ、責任を押しつける気か!!」「国や東電は責任をとらない気か!!」「こっちは被害者だぞ!!」

 避難している川内村の住民123世帯のうち、約15キロ圏外に家がある54世帯、92人(21~85歳)がこの日午前9時ごろ、原発から22キロ離れた村民体育センターに集合。トラブルはここで起こった。

 事前の説明会で国側から紙が配られたのだが、そこに「警戒区域は危険であり、自己責任で立ち入る」と書かれてあり、住民らは同意の署名を求められた。これにキレた。しかも、突き付けられた同意書には「宛名」がない。ダレに同意を求められているのか不明のお粗末な紙切れだった。

 慌てた政府の現地対策本部担当者が、「放射能汚染を含めたリスクが存在することを村民に了解してもらうことが目的」と釈明したが、リスクを理解してもらうことと、自己責任を求めることは別問題のはずだ。

 当然、住民の怒りは収まらない。さらに東電の担当者が防護服や線量計の説明を始めると、「オマエは誰だ!! 名乗れ!!」と村民の1人から大声が上がった。担当者はあわてて「申し遅れました」と名前を告げ、ようやく再開した。

 すったもんだの末、住民はしぶしぶ書類に署名。バス5台に分乗して、最初の1台が予定より約25分遅れの午前11時10分ごろに出発。かと思ったら、自宅のカギを自家用車に置き忘れた人がいて、センターにいったん引き返すというハプニングもあった。

 立ち入りは原則、1世帯1人だが多くの世帯が2人での参加を希望した。滞在時間は2時間で、持ち出し品は縦横70センチのポリ袋1枚に入る分だけ。住民らは白い防護服姿で、片付けや貴重品の持ち出しを急いだ。ポリ袋には夏モノの衣類を入れる人が目立った。最初のバスは午後2時50分ごろ帰還し、その後、順次センターに戻った。

 内閣府の一時帰宅担当者によると、2時間の滞在で受けた個人の累積放射線量は暫定値で最低1マイクロシーベルト、最高で10マイクロシーベルト。女性3人がセンターに戻った際、体調不良を訴えたが、すぐに回復した。

 12日は、川内村の残り69世帯と葛尾村の18世帯が一時帰宅する。


SANSPO.com 2011.5.11 05:04 (引用)
http://www.sanspo.com/shakai/news/110511/sha1105110506010-n2.htm


同意書の詳細は以下のリンクにて。
http://projectipti.blogspot.com/2011/05/blog-post_11.html


それにしても酷い話だ。

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