福島第1原発事故を受け、東京電力が設置した「事故調査検証委員会」(委員長・矢川元基東大名誉教授)の上部の第三者機関で委員を務める元裁判官の弁護士(53)が、運転差し止め訴訟など同原発をめぐる複数の裁判で、東電側の代理人となっていることが22日、分かった。東電による事故調査の中立性が問われそうだ。
弁護士が委員となっているのは、2002年に発覚した福島第1、第2原発や柏崎刈羽原発でのトラブル隠し問題の再発防止策として、原発の安全管理などを審議するため同年に設置された「原子力安全・品質保証会議」(議長・同)。
メンバーは大学教授ら外部有識者6人で、弁護士は当初から委員を務めている。
東電の事故調査検証委は今年6月、原子力安全会議の下に設置された。
検証委の委員7人のうち4人は安全会議の委員が兼ねるが、弁護士は兼務せず、同じ事務所の別の弁護士が就任した。
安全会議委員の弁護士は、北海道の男性が福島第1、第2原発の運転差し止めを求めた訴訟や、東京都の男性が福島第1原発事故で感じた不安に対する慰謝料を請求した訴訟など、事故の前後に起こされた複数の裁判で、東電側の代理人となっている。
慰謝料請求訴訟で東電側は、「想像をはるかに超えた地震と津波に対応できるような対策を講じる義務があったとは言えない」と主張している。
弁護士は取材に対し、「複数の訴訟で東電の代理人をしているのは事実。誤解を受けないよう事故調査検証委から外れており、問題があるとは思わない」と話している。
東京電力の話 会議の委員と原発事故に関する訴訟の代理人とは役割が矛盾するものでなく、不適任とは考えていない。
時事ドットコム 2011/07/22 20:17 (引用)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201107/2011072200868
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