2011年7月22日金曜日

福島第1原発:東電がベント不調を報告 会見では認めず

 東京電力福島第1原発1号機で格納容器の圧力を下げるベント(排気)が失敗した可能性が高い問題で、東電が5月に経済産業省原子力安全・保安院に提出した解析結果の中で「格納容器ベント弁閉止」と記述していることが分かった。自ら失敗した可能性があることを事実上認めているにもかかわらず、その後も東電側は「(弁は当時)開いたままになっていると思われる」などと会見で説明しており、改めて説明責任が問われそうだ。【町田徳丈、杉本修作、池田知広】

 解析結果は東電が5月23日に原子力安全・保安院に提出し、翌24日に公表した。計247ページからなり、地震直後からの計器のデータや作業記録に基づき、炉心の状況を推定した。1~6号機ごとに解析概要と、根拠となる資料が添付されている。

 「格納容器ベント弁閉止」の記述は1~3号機の解析をより詳細にまとめた別紙資料の中の一覧表にあった。3月12日午後2時半、推定できる事象として「格納容器圧力低下を確認」と記述し、その根拠を示す欄で「ベント成功は、圧力の低下が確認された午後2時半と仮定」と説明。午後2時49分に推定できる事象として「格納容器ベント弁閉止」と記述し、根拠を示す欄で「格納容器圧力の上昇から解析上当該事項を仮定」と説明していた。

 東電によると、午後3時36分の水素爆発の影響で格納容器圧力のデータを計測できなかったが、翌13日に復旧した計器データを分析すると再び圧力が上昇していた。上昇に転じた時間を調べたところ、12日午後2時49分にベント弁が閉じた可能性が高いとの解析結果が得られたという。

 一方、東電の松本純一原子力・立地本部長代理は、この問題を毎日新聞が報じた6月24日の会見で、当時の1号機の状態について「(ベントを行い圧力が低下した後で)圧力は横ばいで推移している。いったん弁が閉まると当然圧力は上がってくるので、ある程度ベントの経路(弁)は通じているのでは」と述べ、弁が開いたままの状態だったとの認識を示した。

 会見では「排気筒から白い湯気のようなものが確認された」とも説明したが、解析結果をはじめとする過去の報告書には一切記載されていない。

 東電広報はベント弁が閉じた可能性が高いことを認めながら「(圧力の再上昇前に)一定の圧力低下がみられたのでベントは成功したと考えている」と説明。ただし「白い湯気」については「聞いていない。(ベントの)成否の根拠はあくまで圧力低下」としている。

毎日新聞 2011年7月22日 2時30分 (引用)
http://mainichi.jp/select/today/news/20110722k0000m040158000c.html

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