2011年9月14日水曜日

泊原発:北電社員「やらせ」関与認める 増設議論で00年、賛成派に協力依頼

 北海道電力泊原発3号機(北海道泊村)増設の賛否を巡り、00年3月に泊村で開かれた道主催の「道民のご意見を聴く会」で、複数の北電社員が住民に賛成の意見表明を依頼したと認めていることが、北電の内部調査で分かった。北電では同3号機のプルサーマル計画を巡る08年のシンポジウムでも社員を動員する「やらせ」問題が発覚しているが、住民への多数派工作について社員が直接関与を認めるのは初めて。

 北電では現在、有識者らの第三者委員会が08年のシンポジウムを対象に「やらせ」問題の調査をしており、10月上旬にも取りまとめられる予定の調査結果にも影響を与えそう。北電は「今度の調査については、第三者委員会の意向を踏まえて対応していきたい」(広報部)と話している。

 内部調査によると、証言したのは泊原子力事務所渉外課に当時勤務した社員。泊村など地元4町村向けの広報などを担当していた課員の5人から聞き取り調査したところ、複数の社員が普段から交流のあった賛成派の住民に対し、事前に「日頃の思いを述べてほしい」と意見を表明するよう依頼したり、参加する住民に「原発の必要性などの理解を深めてもらう」との趣旨で原発関連や電力事情を説明した資料を渡したりしたという。

 関与を認めた社員は内部調査に対し、いずれも「日常業務の一環という認識だった」と説明。「『賛成派を参加させろ』といった会社の指示はなかった」と、経営陣ら上層部の関与については否定しているという。

 「聴く会」は00年3月に開催。道が事前に会場で意見表明を希望した40人のうち抽選で26人を選んだ。会を傍聴したという泊村の60代女性は「当時は『やらせ』があるとは感じなかったが、だまされた思い。原発に賛成か反対かは別にしても、北電のやり方は住民をないがしろにしている」と憤る。

 泊村の牧野浩臣村長は「過去のことだからというのではなく、社員倫理を含め、社内の体制をしっかりとし、この問題に片を付けてほしい」と苦言を呈す。道の高原陽二副知事は「仮に(やらせ指示が)あったとすれば遺憾だ。北電にはしっかりと調査してもらい、その報告を待ちたい」と話した。【吉井理記、岸川弘明、坂井友子、高山純二】

毎日新聞 2011年9月14日 2時30分
http://mainichi.jp/hokkaido/news/20110914hog00m040003000c.html


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