福島第一原発の事故で避難指示を受け、事業の休止に追い込まれたなどとして、福島県双葉町の会社社長の男性(34)が東京電力に対して損害賠償金計4440万円の仮払いを求める仮処分を東京地裁に申し立てたことがわかった。東電側は14日、申し立ての却下を求める答弁書を出した。
事故後、司法の場で損害賠償金の支払いを東電側に求める動きが明るみに出たのは初めて。
申し立ては7日付。申立書などによると、男性は同原発から約2キロの工業団地で年商約4億円、従業員18人の鋼構造物工事会社を経営。大震災当日に同原発から半径3キロ圏内の住民に避難指示が出て、会社に立ち入れなくなった。
男性側は、事故と事業休止には因果関係があり、避難指示が解除されても事業再開までには最低6カ月かかるとして、この間の従業員給与を含む事業経費(月700万円)と男性自身の役員報酬(月40万円)の仮払いを求めている。
国は11日、原子力損害賠償法に基づき、損害賠償の指針をつくる第三者機関、原子力損害賠償紛争審査会を設けた。男性の代理人弁護士は「どのような内容の指針が、どの程度の時間で出るのかが見えない。迅速な司法手続きによる判断を求めたい」と言う。
一方、東電側は答弁書で「審査会の指針に基づく任意交渉と、和解の仲介で解決を図るのが基本方針で、個々の案件ごとに司法判断を受けて解決していく方法では補償実務に混乱をもたらし、公正・迅速な補償ができない」と主張した。
男性は今、埼玉県内の親族宅に、家族と身を寄せている。会社が振り出した400万円の支払手形は10日に不渡りになった。男性は「従業員も仕事に就けておらず、一日でも早く再建への道筋をつけたい」と話している。(隅田佳孝)
asahi.com 2011年4月15日3時2分
0 件のコメント:
コメントを投稿