2011年4月29日金曜日

東電、賠償免責の見解 「巨大な天変地異に該当」

福島第一原発の事故に絡み、福島県双葉町の会社社長の男性(34)が東京電力に損害賠償金の仮払いを求めた仮処分申し立てで、東電側が今回の大震災は原子力損害賠償法(原賠法)上の「異常に巨大な天災地変」に当たり、「(東電が)免責されると解する余地がある」との見解を示したことがわかった。
原賠法では、「異常に巨大な天災地変」は事業者の免責事由になっており、この点に対する東電側の考え方が明らかになるのは初めて。東電側は一貫して申し立ての却下を求めているが、免責を主張するかについては「諸般の事情」を理由に留保している。
東電側が見解を示したのは、東京地裁あての26日付準備書面。今回の大震災では免責規定が適用されないとする男性側に対して、「免責が実際にはほとんどありえないような解釈は、事業の健全な発達という法の目的を軽視しており、狭すぎる」と主張。「異常に巨大な天災地変」は、想像を超えるような非常に大きな規模やエネルギーの地震・津波をいい、今回の大震災が該当するとした。
一方、男性側は「免責規定は、立法経緯から、限りなく限定的に解釈されなければならない」と主張。規定は、天災地変自体の規模だけから判断できるものではなく、その異常な大きさゆえに損害に対処できないような事態が生じた場合に限って適用されるとして、今回は賠償を想定できない事態に至っていないと言っている。
菅政権は東電に第一義的な賠償責任があるとの立場で、枝野幸男官房長官は東電の免責を否定しているが、男性側代理人の松井勝弁護士(東京弁護士会)は「責任主体の東電自身がこうした見解を持っている以上、国主導の枠組みによる賠償手続きも、東電と国の負担割合をめぐって長期化する恐れがある」と指摘。本訴訟も視野に、引き続き司法手続きを進めるという。これに対して、東電広報部は「係争中であり、当社からのコメントは差し控えたい」と言っている。(隅田佳孝)
朝日新聞 2011年4月28日15時32分

これが今回の事故処理に対する東電の本音だろう。
枝野官房長官も東電の免責を否定してはいるが、それは現時点での国民感情を反映してのものだ。
先の原賠法に則った解釈ならば東電に賠償責任は無く、また責任を取る者は誰もいない。
これから時間をかけて裁判を行い、最後は和解ということにでもなるのだろうが、東電が払うという体裁ならば電気代の値上げとなり、国が賠償額を補填するのならば増税となる。
また東電の株主にしてみれば、損害賠償請求の金額は少ないほうが都合が良い。
結果的には、いずれにせよ賠償金の支払いは、被害者でもある国民自身ということになる。
それが理不尽だと皆が気が付いた時に、今度は賠償額が巨額になり過ぎない様にとの風潮になり、最後は原発の周囲に住んでいた少数派となる人達が、嫌な思いをする羽目になってしまうのだろう。
さらに、汚染水を放出した事による環境汚染に対する、海外からの損害賠償請求や、東電株主による善管注意義務違反での訴訟も考えられるだろう。

1 件のコメント:

GT さんのコメント...

福島第1原発:東電の免責求める 自民・吉野氏

29日の衆院予算委員会で、福島第1原発事故を巡る東京電力の賠償責任免除を求める質問を自民党の吉野正芳氏が行った。原子力損害賠償法には「異常に巨大な天災地変」時は免責する規定があり、吉野氏は「莫大(ばくだい)な災害が起きた場合に東電の責任を無視して全部国がみる規定になっている。東日本大震災を過小な災害と認定するのか」として国が一義的に責任を負うよう主張した。

◇首相「税金で全賠責、違う」
菅直人首相は「財源は国民の税金。国がすべての賠償責任を負うのは違うのではないか」と答弁。枝野幸男官房長官も記者会見で「国会などでも大津波によって事故に至る危険性が指摘されていた。免責条項に当たる状態ではないと明確に言える」と否定した。

吉野氏の主張について自民党の石破茂政調会長は「東電の社会的責任を認識したうえでの発言と理解している」と説明、免責の是非については明言を避けた。東電側は清水正孝社長が28日に「そういう理解があり得る」と述べるなど、免責条項の適用を求める姿勢もちらつかせている。【平田崇浩】

毎日新聞 2011年4月29日 19時44分(引用)
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110430k0000m010036000c.html?inb=yt

早速、責任の擦り付け合いが始まった様です。