2011年10月15日土曜日

当たり前の新聞を目指す

「新聞週間」が十五日から始まります。情報がはんらんする一方、世界の先行きは見通しにくくなるばかりです。政府も情報統制を強めようとしています。自由で独立し信頼に足る言論の存在は、ますます重要です。私たちは何者にも気がねせず報道し、自分の頭で考え発言する本来の新聞を目指します。

「新聞は真実を報じているか」「偏った見方を伝えているのでは」。読者の疑問は強まっているように感じます。それは一部新聞に、特定の政党政派にくみしたり、官僚、業界の代弁をしたりする傾向がみられるからではないでしょうか。

私たちは与党にも野党にも気をつかわず、官僚や業界に取り入ることもありません。誰の主張であろうと、多くの国民の利益にかなうと思えば支持し、背くものであれば反対します。政府への提言も大切ですが、鋭い直言を持ち味にしたい。

判断の基準は庶民の常識です。大衆追随と批判を浴びそうですが、庶民は正確な情報さえあれば賢い判断を下します。世間で広く認められる見方に知恵が込められています。

地震大国日本で、大きな事故が起きれば収拾できず、処理できない放射性廃棄物をため込む原発と共存できるでしょうか。力にものをいわせる風潮が広がるアジアで米国とのきずなは大切ですが、沖縄の人々が集中する米軍基地に反感を募らせていては、日米関係は安定しません。

膨大な借金を抱える日本は将来の増税もやむを得ないでしょう。
しかし、国会や霞が関が無駄を削らず国民にばかり負担を押し付けるのは許せません。

これらは難しい理屈ではなく、庶民としての当然の判断です。社会は複雑化し、記者が専門知識を磨くことも大切です。しかし、官僚や専門家に取り込まれ、彼らの価値観で発言するようになっては頼りになりません。

地方重視は本紙の原点です。地方の現実に分け入ることで、東京ではわからない発想を得ることができます。事件の現場に行き新しい発見をすることは記者の出発点でした。

読者からのお叱りやご意見は論説を考える貴重な糧です。起伏の多い道を歩みながら書き続ける私たちにご支援をお願いします。

東京論説主幹 清水美和

中日新聞 2011/10/14 (引用)

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